胃かいようと言えばストレス!そう思いますよね?
ところが、そうでもないんです。
阪神・淡路大震災の直後、胃かいよう患者が増えました。やっぱりストレスが…と思いきや、神戸大学医学部附属病院が調査したところ、
患者さんの83%がピロリ菌感染者でした。 被災という究極のストレスの中でもピロリ菌に感染していない人はほとんど胃かいようにならなかったということなのです。
実は、胃かいようは、ピロリ菌が胃壁を傷つけ、
胃酸に対抗する防御を弱めることが原因となって起きます。
防御が弱くなった胃にストレスがかかると防御がさらに弱くなり、胃かいようになるんです。
今では、胃かいようの治療はピロリ菌の除菌が中心です。この場合は、保険も適用。
過去の胃かいようであっても検査で痕跡が見つかれば保険が適用されます。
胃かいようで悩んでいる人は、すぐに除菌することをおすすめします。
十二指腸かいようもピロリ菌が原因ですので、除菌治療で治ります。これも保険適用です。
ストレスが多い人もピロリ菌に感染していれば、いつ胃かいようになってもおかしくありません。
従前は世界中ほとんど全ての人が保菌していたが、先進工業国では衛生管理の徹底によって、この菌を持たない人が増えてきています。2005年現在、世界人口の50%程度がピロリ菌の保菌者と推定されています。
日本は、40歳以上では7割を超えており開発途上国並の高水準です。
(日本ヘリコバクター学会『市民の方へのピロリ菌解説』より)
ピロリ菌は、胃がんや胃かいようの元凶で、感染者は全国に6000万人と言われます。
それにもかかわらず、「除菌する必要はない」とされてきました。ところが去年、日本ヘリコバクター学会が診療のガイドラインを改訂し「感染者全員の除菌を強く勧める」としたのです。理由は、除菌に胃がん予防効果があることが、より確実になったからです。
ピロリ菌は胃がんの元凶のひとつです。それでは感染すれば、即胃がん?いいえ。感染者6000万人がみんな胃がんになるなんてことはありません。
なぜでしょう?
愛知県がんセンターでは、スナネズミにピロリ菌を感染させて胃がんを発症するかどうか実験しました。結果は、一匹も発症しませんでした。ピロリ菌は、胃壁の細胞を攻撃するので、そのダメージが蓄積して胃がんのベースとなります。
でも、それだけで胃がんになることは少ないのです。そこに、発がん物質のようながんを起こす手助けをするものが加わると胃がんになります。この胃がんを起こす危険性を高めるものが、最新の研究で、三つ明らかになっています。
まず高血糖。
「ピロリ菌感染+高血糖」の人は、「ピロリ菌なし+血糖正常」の人の4倍、「ピロリ菌感染+血糖正常」の人の2.2倍胃がんになりやすかったのです。
次に喫煙。
「ピロリ菌感染+喫煙」の人は、「ピロリ菌なし+非喫煙」の人の11倍、「ピロリ菌あり+非喫煙」の人の1.6倍胃がんになりやすいのです。
(調査:九州大学大学院 清原裕 教授)
最後に塩分のとりすぎ。
これはスナネズミの実験ですが、「ピロリ菌感染+がんになりやすい薬+塩分とりすぎ」のネズミは、「ピロリ菌+がんになりやすい薬+塩分正常」に比べて3倍も胃がんになったのです。(実験:愛知県がんセンター)
高血糖、喫煙、塩分とりすぎの方、ピロリ菌の検査、除菌をすぐに考えた方が良いですよ!
日本で認可されている保険診療の対象となっている除菌療法は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と抗生物質2剤(アモキシシリン(AMPC)+
クラリスロマイシン(CAM))を組み合わせた「PPI+AMPC+CAM」の3剤併用療法で、3剤を7日間服用します。
この一次除菌療法にて除菌が失敗した場合、メトロニダゾール(MNZ)に変えて「PPI+AMPC+MNZ」の3剤併用療法による二次除菌療法まで保険適応となっています。除菌は投薬のみで苦痛を伴うものではありません。
「除菌したから胃がんにはならない。これで安心!」そう言いたいところですが、そうではないことも…。
ピロリ菌は、まだ免疫力が弱い5歳くらいまでの子どもの頃に感染します。一度感染すると、除菌しない限りほぼ一生涯感染し続けます。
胃壁を攻撃され、ほぼ全員が慢性胃炎となり、そのまま攻撃が続くと胃壁が薄くなる萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)になります。この萎縮が進むほど胃がんの危険が増します。
高齢になってから除菌した場合、胃がんになる危険度は下がりますが、ゼロにはなりません。長年蓄積された胃のダメージが残るからです。除菌後も、きちんと胃がん検診を続けるようにして下さい。